JOURNAL

2025/11/14 12:28

革は、時と共に姿を変える。
それは劣化ではなく、触れた時間が静かに沈んでいく現象である。
経年変化とは、素材が古びることではない。
持ち主の歩みに、革が応えるというごく自然な呼吸のことだ。

変わらぬものは、流れを受け止められない

世の多くの品は、変わらないことを価値としている。
誰が使っても同じ顔を保つために、時間の痕跡を閉ざし、永遠を謳う。
だが、運は止まらない。
人の選択も、出会いも、願いも、すべては流れ続ける。
流れ続けるものを受け止めるには、器もまた、静かに変わる必要がある。

変化は、持ち主の時間の深さである

艶が深まるのは、触れた日々の分だけ。
皺が刻まれるのは、迷いと選択の痕跡。
沈む黒は、成熟と覚悟の重心。
革が変わるのではない。
刻まれた流れが、姿を変えて現れているだけである。
これを劣化と呼ぶか、それとも歩みの証と呼ぶか。
答えは、ただ静かに滲む。

形は同じでも、流れは同じではない

トラッカーウォレットという形は変わらない。
しかし、その中に流れ込む人生は、ひとつとして同じではない。
選ぶ理由が違い、宿る願いが違い、触れる手の温度が違う。
均質な外見の奥で、内側の時間だけが深く沈む。
同じ形のまま、まったく違う一点が刻まれていく。

結び

運は流れであり、流れはその時の一点である。
その一点が揺れ、変わり続けるからこそ、革もまた静かに深まっていく。
経年変化とは、単なる素材の変化ではない。
持ち主の流れが刻まれた証そのものである。


この流れは、いま Kaijiendo の〈運の世界〉へと続いていく。

すべての起点は、この記憶にある。







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