JOURNAL

2025/11/07 12:43

財布には、数えきれない名がある。
バイカーウォレット、スーベニアウォレット、ミニマムウォレット、ショートウォレット。
だが、その中で「労働者の財布」と呼ばれたのは、トラッカーウォレットだけだった。

労働の中で生まれた構造

1940年代、アメリカ。
戦後の工業地帯を支えたのは、無数のトラックドライバーたちだった。
彼らは貨物を運び、街と街をつなぐ“血流”のような存在。
昼夜を問わず道路を走り続けるその職業は、典型的な**ブルーカラー(肉体労働者)**として尊敬と孤独の狭間に生きていた。
長距離運転の過酷な環境では、財布を落とすことは致命的だった。
そこで彼らは、財布に鎖をつけ、ベルトに繋いだ。
この構造が「Trucker Wallet(トラッカーウォレット)」の始まりである。
つまりトラッカーウォレットとは、労働と安全祈願が同居した構造物だった。
鎖は命綱。
落とさぬための仕組みであり、同時に「運を繋ぎ止める護符」でもあった。
労働と祈りがひとつの形になったとき、財布はただの道具ではなく、“生き抜く者の証”としての意味を帯びた。

祈りとしてのウォレット

トラッカーたちの願いは、単なる安全祈願ではなかった。
彼らは日々の労働の中で、「この環境から抜け出したい」「より良い生活を掴みたい」と願っていた。
それは、アメリカンドリームの最も古い形──労働からの上昇、祈りとしての富の希求。
だからこそ、財布は“運”を宿す器となった。
お金を守る道具であると同時に、「運を逃がさないための構造」として機能する。
彼らが鎖で財布を繋いだのは、単に落とさないためだけでなく、自らの運命を繋ぎ止めるためでもあった。

Kaijiendoが継ぐ構造

Kaijiendoが「運の構造」を宿す器として、トラッカーウォレットを選んだのは必然だった。
この形は、労働、旅、祈り、そして秩序を併せ持つ唯一の財布だからだ。
バイカーウォレットが“自由”を象徴するなら、トラッカーウォレットは“生き抜く力”を象徴する。
前者が反逆の象徴であるなら、後者は祈りの象徴である。
Kaijiendoは、かつて労働者が鎖に込めた願いを、クロコダイルの腑に刻まれた秩序と結び直した。
落とさぬように、運を繋ぐように。
働く者の手に再び“流れ”を宿すために。
トラッカーウォレットとは、労働の中で生まれ、祈りの中で熟した構造である。
そして今、その祈りは“運の構造”として再び息づいている。

結び

すべての構造には、起源がある。
トラッカーウォレットの起源は、安全を願った労働者の鎖と、富を掴みたいという小さな祈り。
Kaijiendoはその記憶を、現代の“運の器”として再構築した。
掴み、肥やし、整え、進む。
その循環のすべては、この労働者の器から始まる。








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