JOURNAL

2025/09/21 18:54

日常を彩る道具において、「小さいこと」は決して妥協ではありません。
むしろ、限られた寸法の中に何を残し、何を削ぎ落とすか。その判断こそが、持つ人の美意識を映し出します。
Kaijiendoのマルチケースは、一枚の革を折り畳み、たった一箇所のステッチで形を成すという極限のミニマルから生まれました。
横からも縦からも開けられる二面性、二層に仕切られた実用性、そして植物タンニン鞣しによる経年の美しさ。
それは「小ささ」ではなく、余白を持つことの贅沢を語る存在です。

横と縦、二つの顔

このマルチケースは、表から見れば横型、背面から見れば縦型。
一つのケースでありながら、二つの異なる開閉方法を持ちます。
財布でも、名刺入れでも、小物入れでもある。
その柔軟さは、持ち主の日常に寄り添いながら「使い方を限定しない自由」を与えます。

一枚革から生まれる二層構造

形は驚くほどシンプルです。
一枚の革を折り畳み、たった一箇所のステッチを加えるだけ。
それによって背面には自然な仕切りが生まれ、二層構造として機能します。
削ぎ落とされた工程から立ち上がるのは、余計な要素を持たないからこそ得られる美しさ。
「最小限の加工で最大限の機能を生む」それがこのケースの真価です。

植物タンニン鞣しという贅沢

このケースに用いられる革は、すべて植物タンニンで鞣されています。
化学薬品を使わず、木の樹皮から抽出されたタンニンでじっくりと時間をかけて鞣すこの製法は、古来より高級革の証とされてきました。
繊維が引き締まり、使い込むほどに艶と深みを増す。
その経年変化こそが、持ち主だけの物語を刻む贅沢です。

余白を持つという豊かさ

キャッシュレス時代にあっても、名刺や小銭、札を持つ場面は消えません。
マルチケースは、それらをスマートに収めつつ、余白を残します。
「持たないこと」ではなく、「持ちすぎないこと」。
余白を持つという豊かさを、この小さなケースが静かに物語ります。

小さな贅沢として

Kaijiendoのマルチケースは、二面性と余白という豊かさを宿した道具です。
素材の力を信じるがゆえに、一枚革を折り畳むだけで形を生み出し、年月とともに唯一無二へと育っていく。
それはただの小物入れではなく、「ミニマルの中に隠された贅沢」を映し出す存在なのです。

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