2025/05/17 02:53

異なる個性を持つふたつの素材。
ひとつは、オイルをたっぷり含んだ野性味あふれる馬革。
もうひとつは、凶暴さと威厳を併せ持つクロコダイルの顎。
このミニウォレットは、それぞれが持つ強さをぶつけずに“添える”ことで調和させた一作です。
イタリア・マリアム社のホースバット

外装に使用しているのは、イタリア・マリアム社が製造するホースバット。
馬の臀部(バット部位)は繊維密度が高く、オイルの浸透によってしっとりとした手触りと柔軟性を兼ね備えています。
このモデルでは、表面加工を施さず“素上げ”で仕上げることで、あえて自然なトラやシワ、古傷をそのまま残しています。
時間とともに色が深まり、艶が増す経年変化が楽しめる素材です。
内装に潜むクロコの顎

開かなければ全貌が見えない様に、ナイルクロコダイルの“顎”を配しています。
使用しているのは、ジンバブエ産ニロティカスの顎部を日本国内で丁寧に鞣したもの。
ワニの顎は「一度噛みついたら離さない」と言われる力強さの象徴であり、金運を掴んで離さない縁起の良い部位とされています。
見えないからこそ意味がある。BLACK INSIDEに通じる思想も、ささやかに宿っています。
構造と仕立て

構造はシンプルな2室構成。
札仕切りとフリーポケットを備え、お札は三つ折りで収納します。

外装のフラップには7070ホックを採用し、手応えのある開閉感と高い耐久性を両立。
金具はすべて真鍮無垢製で統一され、革とともに時間を重ねて風合いを深めていきます。
素材の「混ざらなさ」を愉しむ
このモデルが面白いのは、クロコとホースが“混ざっていない”ことです。
全体としてはひとつの財布でありながら、外と内でまったく違う顔を持っている。
使う人だけが知っている内装の意匠が、所有する満足感を静かに満たします。
一点物としての希少性はもちろん、素材を跨ぐ「余白」そのものが個性になっているプロダクトです。